オゾン療法の詳細

オゾン療法の効果が最近、話題になっています。

症例写真及び適応症例の無断転写・転載を禁止いたします

オゾン療法の治癒機構は生化学的に解明されつつあります。現時点で簡略に言いますと、「オゾン療法は、オゾンと生体物質との反応生成物(オゾン誘導化学種)による各種細胞への刺激を出発点として,ヒトの自然治癒力を高めている方法」です。

1.オゾンとは

オゾンは化学式でO3と書き、酸素のO2と同じガス体です。成層圏にはオゾン層がありますが、オゾンには人間に有害な紫外線を吸収する性質があるので、皮膚ガンや悪性腫瘍などの発生から私たちを日常的に守っています。オゾンは通常の空気の中にも微量に含まれており、とくに森林や海辺の自然の多いところには多く含まれていますが、過度に多いと有害です。 オゾンは特殊な臭いがすることでギリシャ語の「臭」う (ozein) から名付けられました。なお、オゾンは空気より多少重い気体です。この性質を知っていれば、オゾンの過度の吸入を防ぐことができます。

2.オゾンの作用

1)殺菌作用

オゾンの酸化力はフッ素に次ぐ強いものです。従って細菌からウイルスに至るまでの病原性微生物を殺す作用があり、この抗菌スペクトルに他の殺菌剤や抗生物質は及びません。この強力な殺菌作用は主に飲料水の浄化や、食物、空気の殺菌、脱臭など環境衛生の立場から世界中で利用されております。

2)生体への作用

オゾンの治療への用い方は次項で述べますが、治療に用いたオゾンは生体成分と直ちに反応して無くなり、ある種の反応生成物(オゾン誘導化学種)ができます。以下に述べるイ)、ロ)、ハ)はこの化学種の細胞への作用結果です。

イ)鎮痛消炎作用

炎症細胞に働きかけ、酵素シクロオキシゲナーゼ2の産生を阻害し、炎症のもとであるプロスタグランジンの生成を抑えます。

ロ)免疫作用

免疫細胞に働きかけ、様々のサイトカイン(例えばインターフェロン γ など)を産生させて免疫効果などをもたらし、病気の予防に有効です。

ハ)抗ガン作用

インターフェロンやその他のサイトカインなどの抗ガン物質を誘導させることができます。したがってオゾン療法との併用により抗ガン剤の量を減すことができます。また、患者のQOLを向上させることができます。

表 オゾン処理によって誘導産生されるサイトカインとNO
インターフェロンα
インターフェロンーβ
インターフェロンーγ
インターロイキンー1β
インターロイキンー2
インターロイキンー4
インターロイキンー6
インターロイキンー8
インターロイキンー1
腫瘍壊死因子(TNF-α)
顆粒球マクロファージーコロニー刺激因子(GM-CSF)
トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)
一酸化窒素(NO)

 

3.オゾン療法とは

「オゾン療法」と言える方法は90年前、日本とドイツで開発されました。1957年ドイツで医療用オゾン発生器が開発され、オゾン濃度の正確な測定が出来るようになり、普及に拍車がかかっております。
とくにヨーロッパ、ロシア、キューバなどで研究が進んでおります。

オゾン療法の適応性

適応性 効果
1.動脈循環不全 ・血流の増加 ・赤血球代謝活性化
2.外表遺瘍と皮膚損傷 ・殺菌・創の清掃・創傷治癒促進
3.腸の病的状態:直腸炎、大腸炎、痩孔 ・殺菌・免疫活性化・炎症過程阻止
4.細菌およびウィルス感染症 ・殺菌・免疫力増進
5.癌化状態の補助療法 ・免疫騒活 ・O2放出腺の増加
6.老人病 ・O2放出腺増加 ・免疫、酵素の活性化
7.リウマチ疾患:炎症病変、変性病変
8.歯科 ・殺菌 ・創の清掃・創傷治療促進

 

1)低濃度オゾンの皮下注射・筋肉内注射

オゾン2-10μg/mL酸素の医療用としては比較的低濃度の「オゾン/酸素混合ガス」を圧痛部の皮下または筋肉内に注射します。瞬時に鎮痛効果が発現します。この方法はリュウマチ、五十肩、ギックリ腰、膝関節炎など、広範囲の筋肉痛に有効です。

右眼部帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛

2)中用量オゾンによる大量自家血液療法

これは免疫療法の1つです。患者自身から50-100mLの血液(自家血液)を採血管に採り、10-20μg/mLの高濃度オゾンガス50-100mLを体外で接触させ、化学反応を行わせます。
自家血液は「オゾン処理血液」になります。次に採血管のコックを開け、このオゾン処理血液を点滴法で患者の体内に戻します。この療法は慢性肝炎(C型肝炎を含む)、肝硬変、ガンの予防およびその補助療法、として活用されております。また、脳梗塞などの脳血管障害(痴呆を含む)、慢性疲労症候群にも有効です。

 

3)中濃度オゾンガス注腸による療法

10-20μg/mLの高濃度の「オゾン/酸素混合ガス」100-300mLくらいを患者の直腸内に注入します。
ご存知の浣腸と同じような方法です。ただ、液体ではなく気体を注入するところが違います。この方法は幼児や採血しにくい患者の場合に使われます。効果は2)と同じですが、潰瘍性大腸炎などにも有効です。

症例 ヒルシュスプルング病

  • 生後1日目にヒルシュスプルング病と診断された。
  • 生後3日目にストマを設営。手術可能の目標体重、6kgになるのをまった。
  • 年齢3ヶ月半、大腸全摘、小腸が肛門に縫合された。ストマを閉める。
  • 大腸の働きがないため、水便が続く(1歳過ぎまで1日20回)。
  • 小腸液(アルカリ性)の漏出により、臀部が爛れた状態も続く。
  • 1歳半頃から、便意を感じるようになるが、夜間や日中でも本人に自覚なく腸液が出てオムツを汚す。

主治医の話:小腸は長い年月をかけて、大腸の役目をするようになるが、個人差があり、10才、20才になっても軟便の方はいる。

 

オゾン療法の結果

  1. 2才よりオゾンガス注腸法の適応を開始した。2才時点での主訴は下痢と肛門周囲ビラン(直径10cm)。
  2. 第1セッションはオゾンガス注入を毎日1回、9日間おこなった。水様便から軟便となり、肛門括約筋の収縮が良好になった。
    排便回数は1日、10回であったが、これが5回に減少した。
  3. 主治医は、手術後、縫合した部分が癩痕拘縮していくので、定期健診で指でブジーを行い、患児には苦痛なものであったがオゾン療法開始後には
    主治医の見解では「肛門指診で吻合部が柔軟になり、便の噴出はなく、便自体に形が付くようになった。」
  4. およそ20日後、第2セッションとして、オゾン注入が毎日1回9日間行われた。
    夜間排便が3回から1~2回に減少、肛門の締まりは一般と良化。肛門周囲のビランはさらに良化した。肛門吻合部はさらに柔軟になった

主治医の見解:「小腸が一部大腸化して水分を吸収するようになったため、肛門周囲への腸液付着量が減少、皮膚の状態が改善してきた」

 

「オゾンガス」と「オゾン水」の利用

オゾンガスを種々の方法で患部にさらします(オゾンガス浴)。オゾン水の使用も効果があります。
オゾン水は再蒸留水あるいは局方水にオゾンガスを通気して作ったものです。このオゾン水は長期に放置するとオゾンが消滅しますが、適時に使用すると歯科領域や手術室の除菌、器具の殺菌に役立ちます。婦人科では膣や子宮などの洗浄に用いられます。火傷の治療にもきわめて有効です。オゾンガス、オゾン水の性状については文献*2を参照ください。

*2「日本におけるオゾン医療」、第1章、pp.4-13(1996)日本医療オゾン研究会刊行

オゾン水による熱傷の治療効果

「オゾン化油」の利用

オリーブ油にオゾン/酸素混合ガスを導通し、オゾンを反応させ「オゾン化油」を作ります。手術後の難治創および高齢者の褥瘡(床ずれ)、火傷などの治療に用いられております。

急性虫垂炎術後廔孔のオゾン化油による治療(松本ら 2000)

A:オゾン化油投与前 B:廔孔造影
C:オゾン化油1回投与 D:6回投与

急性虫垂炎術後廔孔のオゾン化油による治療(松本ら 1999)

使用前 足の踵骨部、膝部に深い腫瘍とポケットを形成
使用後 0.5~0.8mLを30回投与、ポケットの消退とまわりからの上皮化が生じる。治癒。

尾形利二先生による適応症例の紹介

これは尾形利二先生(元日本大学大学院歯科専攻科教授、医学博士)は日本でのオゾン療法創始者、尾川正彦先生の部下として、日大駿河台病院オゾン科(戦中のこと)に勤務しました。その後1975年から20年の長期にわたり治療の成果を症例別にまとめたもので、その文章*3を引用します。但し、現在の研究から見て不十分な所(ごく少量)をカットしてあります。
*3 「日本におけるオゾン医療」、第1章、pp. 1-3 (1996) 日本医療オゾン研究会会報増刊1号

1.適 応 症

◎ 一般医療がお手上げのもので、特効があるもの。
○ ほかの医術では不満足で、これによって効果あるもの。
△ 手術の代わりに、またはその前段階で、効き目の優れたもの。
▲ 別の治療を受けていても、これによって経過が良くなるもの。

肩こり 心臓神経症 胃腸神経症
ねちがい 胸痛 胃潰瘍
頭痛 狭心症と心筋梗塞 十二指腸潰瘍
ムチウチ症 心内膜炎と弁膜症 肝臓病と胆石
五 十 肩 低血圧症 急性膵炎
ギックリ腰 貧血 腎炎
腰痛いろいろ 高血圧症 虫垂炎
肋間神経痛 めまい
坐骨神経痛 車(船)酔い 下痢と便秘
三叉神経痛 足の静脈瘤 ぜんそく
膝関節痛 むくみ 蕁 麻 疹
リウマチ 一酸化炭素障害 湿疹
指先のしびれ 息切れ 水虫
インポテンツ 耳鳴りと難聴 ねんざ
更年期症 ノイローゼ 創傷
乳房のしこり 前立腺肥大症 白内障
不眠症 老化 眼精疲労、仮性近視

以上は尾形先生一万件をこえる治療経験をまとめたものです。使用したオゾン発生器は尾川式です。医療用オゾンは極めて希薄で、オゾンは純粋酸素の中に僅かに含まれています。これを20 ml 宛、諸部位に徐々に皮下注射します。この微量オゾン/酸素混合ガス注射は、一般の皮下注射と異なり、注射部位として患部の周辺部、圧痛点、背部などが選ばれます。注射はほとんど無痛で副作用は全くなく、効果がてきめんに表れます。尾形先生は「多くの患者は長生きをして、感激の手紙を下さる人は数え切れない」と述べています。

2.微量オゾン/酸素混合ガスの効果

  1. 炎症を鎮め痛みを即効的に緩解する。また、痒みなどを早期に消失せしめる。
  2. 殺菌、解毒作用が優れ、化膿機転を鎮痛、消退せしめる。
  3. ストレスを解消し、新陳代謝を盛んにするため、肉体的および精神的な若返りを促進する。
  4. 病弱ならびに廊下の細胞を賦活して、病気の治癒を促進し、再発防止、老化防止に効果を現す。
  5. 免疫力の低下。
  6. 炎症プロセス(関節炎等)
  7. 循環器疾患(動脈硬化性疾患等)
  8. 糖尿病(壊疽等)
  9. 敗血症(大腸菌、O-157やO-111等)
  10. 神経性変性疾患
  11. ガン治療に対する補助的効果。

 

追記

元日本大学大学院歯科専攻科教授
歯科医師、医師、医学博士 尾形 利二

今から60年ほど前のことであるが、東京神田の日本大学駿河台病院に、山岡万之助(当時日大総長)ほか多数のオゾン患者の肝いりで「オゾン科」が設けられた(昭和13年)。「オゾン科」とは勝手に名付けられた名であるが、内科・外科・婦人科・皮膚科などの患者待合室に比べ、患者はいつも満員の盛況であった。「オゾン科」の主任は故尾川正彦先生で、医療用オゾン発生器を完璧なものに制作された努力家で、治療技術においても優れた腕前をもち、数あるオゾン医療者の始祖と言われた人物である。

自分は本年満九十歳を迎えたが、年にしては元気で風邪は鼻かぜ程度で、床についたことは一度もない。これは長年にわたってオゾンを取扱ってきた賜物であると信じている。これを「愚者の一つ覚え」と言われても、自分はこの道一筋に進みたいと思ってきた。しかし、オゾン医療がごく一部でのみ取り扱われ、後継者の育成に至らなかったことに、あせりを感じていたことも事実である。抗生物質等を万能とする医療現場には現在解決できない多くの問題や、難病の顕在化が生じている。今後はオゾン医療が大学の中でも研究され、オゾン医療が公的に取り上げられるようにしていく必要がある。こういう時、日本医療オゾン研究会が設立されたことは、まことに喜ばしく、積年の懸念が払拭された思いでいる。どうすればオゾン医療を普及できるか、当研究会で強固な組織作りの上、普及を図られるよう熱望している。

 

医師の方へ:詳細を知るにはオゾン療法セミナーを受講してください。

お願いします。

オゾン療法の詳細について

資料*1 「新版オゾン療法」R.Viebahn-Hänsler著「The Use of ozone in Medicine」
英訳第5版(2007)の翻訳、(有)オゾノサン・ジャパンに申し込み下さい。
日本医療・環境オゾン学会では医師向けにオゾン療法セミナーを開催しております。これまでの実施状況はホームページの過去のセミナーに掲載されています。( TEL/090-7111-7389・FAX/072-839-8084 )

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(有)オゾノサン・ジャパン(代表取締役 神力 就子)へFAXをお願いします。
FAX/TEL: 011-818-8324 住所:〒062-0906 札幌市豊平区豊平6条6丁目5-47-603

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